一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン(共同提案統括団体)
公益社団法人日本山岳ガイド協会
山岳医療救助機構
NPO法人自然体験活動推進協議会
一般社団法人日本アウトドアネットワーク
公益社団法人日本環境教育フォーラム
NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟
Leave No Trace Japan
日本トレイルランナーズ協会
一般財団法人トレイルランニング協会
このたび、健全な野外活動、アウトドアスポーツを推進している10の団体が共同し、新型 コロナウイルス感染症が発生している間、さらにはウィズコロナの時代においても、心身の健康と安全を最優先に、人々が野外活動、アウトドアスポーツを通じて、家族、他人、地域 社会、そして自然と適切なつながりを保ち続けることを奨励することを目的に、その基本となる行動ガイドラインとして「#ステイコネクテッド~自然と適切につながるための6つのヒント~」を策定、共同提案いたします。
ご賛同いただける方は、ぜひハッシュタグ「#ステイコネクテッド」をつけてSNSで拡散いただけますと幸いです。
「#ステイコネクテッド」
~自然と適切につながるための6つのヒント~
【共同提案の背景】
この数ヶ月、私たちは新型コロナウイルス感染の拡大防止と終息のため、「ステイ・ホーム」 の呼びかけのもと、外出自粛を余儀なくされました。その間に、新鮮な空気や陽の光、木々の緑など、自然がもたらす精神的、身体的恩恵を再認識した多くの人々にとって、家の外で時間を過ごしたい欲求は、これまで以上に高まっています。
この欲求はストレスの多い自粛生活の中で心身の健康を保つ上でも理にかなっています。米科学メディア『フロンティアーズ・イン・サイコロジー(Frontiers in Psychology)』 に掲載された論文で、米ミシガン大学のマリーキャロル・ハンター博士が、「ストレス・ホルモンのコルチゾールを減少させるのに最も効果的なのは、自然を感じられる環境下で20 ~30分間過ごすことです。」と述べているように、短い時間であっても身近な自然の中で過ごすことがとても有効なのです。
5月26日、日本政府は緊急事態宣言を全国的に解除し、外出自粛の段階的緩和として6月19日以降は、全国を対象に県をまたぐ移動の自粛が解除される方針です。さらに、政府は落ち込んだ日本各地の観光需要を喚起するために、国内旅行を本格的に活性化させる施策を発表しています。それに伴い、閉鎖されていた公園やレクリエーション施設、キャンプ場などが徐々に営業を再開し始め、待ち望んでいた人々が、山や海、川などのフィールドに出かけ始めています。
一方で、感染症の専門家からは第2次、第3次の感染発生への懸念が指摘されており、夏休みを目前に控え、例年、多くの人が訪れる富士山など、各地の山々の登山道や山小屋、海水浴場は、全面的な閉鎖を決定することを発表しています。
こうした外出を望む動きと新たな感染の不安のはざまで、野外活動、アウトドアスポーツを愛好する市民はもとより、パンデミックで大きな経済的被害を受け、来訪者の受け入れ再開をめざしている日本各地の山岳ガイドや自然学校、キャンプ場などの事業者の間では、「今は何が最善の行動なのか?」「何を基準に行動すれば良いのか?」という混乱が起きています。
私たちがパンデミックから学んだひとつは、危機において私たちの生活を支えてくれたのは、家族や友人と地域社会、食料関係者や医療機関、そして、豊かな自然であり、そのいずれとも適切な社会的距離を保ちながら持続的につながることで、お互いが恩恵を享受する相互依存の重要性でした。それは、野外活動自体が、これまでもその実践の場であったことを再認識しました。
こうした現状認識のもと、私たちはそれぞれ個別に、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中の野外活動やアウトドアスポーツについての行動ガイドラインを提唱してきましたが、外出自粛の段階的緩和と夏休みを前に、わかりやすい包括的なガイダンスを新たに策定し、広く一般に共有することが不可欠であるという認識で一致しました。
そこでこのたび、多くの人が心身の健康と安全を最優先にしながら、野外活動やアウトドアスポーツを通じて、家族や他人、地域社会が、自然との適切なつながりを保ち続けることを目的に、その基本となる行動ガイドラインとして「#ステイコネクテッド ~自然と適切につながるための6つのヒント~」を策定、共同提案いたします。
このガイドラインは公衆衛生の専門家による野外活動に関する見解と同調しており、策定にあたっては共同提案団体のひとつである「山岳医療救助機構」の代表であり、日本初の国際山岳医の大城和恵ドクターに助言をいただきました。大城ドクターは以下のように語っています。
「自然や山を愛する私たちは、大雨が降れば小降りになるのを待ち、雷が鳴れば低いところに移動し、吹雪けば停滞し、天候の回復を待って登山をしてきました。美しくも厳しい環境の中において、私たちは、常にそこに適応し、その自然環境で生き延びることを繰り返してきました。今は、ウィルスの拡大を抑制し、私たちが抵抗力を獲得する日をじっと待っている時です。自然の豊かさと怖さを知っている登山者だからこそ、自然の中で生き延びる術と英知を持っていると信じています。」
各野外活動、アウトドアスポーツに最適化した詳細な行動ガイドライン等については、下記のリンク先より、各団体が発信している情報を参照してください。
なお、野外活動に関するガイドラインは、地方自治体や土地所有者によって異なる場合があります。各施設の再開については、段階的緩和アプローチを取っているため、ルールや利用状況は逐次変化していることに注意してください。
また、混雑状況やソーシャルディスタンスが十分に取られていない、あるいは新型コロナウ イルスの新たな感染が確認された場合、公園や施設が再び閉鎖される可能性があります。私 たちの「#ステイコネクテッド~自然と適切につながるための6つのヒント~」は、そうした状況を再度起こさないためにもアウトドア・コミュニティ全体に推奨されるヒントとなることを願っています。
ご賛同いただける方は、ぜひハッシュタグ「#ステイコネクテッド」をつけてSNSで拡散してください。
【共同提案団体等へのリンク】
公益社団法人日本山岳ガイド協会
「自粛」要請解除後の登山・スポーツクライミング活動ガイドライン・感染させない、感染 しないために(2020年5月25日)
山岳医療救助機構
登山再開に向けた知識「登山実践編」(2020年5月24日)
NPO法人自然体験活動推進協議会(CONE)
一般社団法人日本アウトドアネットワーク(JON)
公益社団法人日本環境教育フォーラム(JEEF)
自然学校等における新型コロナウイルス対応ガイドラインについて(2020年5月27日)
Leave No Trace Japan
コロナ時代のアウトドアの楽しみ方
日本トレイルランナーズ協会
一般財団法人日本トレイルランニング協会
トレイルランニング競技に関わるイベント等再開時のガイドライン(2020年6月1日)
※参考:米国のアウトドア関連団体が設立した「The Recreate Responsibly Coalition」のガイドライン
#RecreateResponsibly Guidelines
Resource Hub
【共同提案団体代表者からのコメント】
一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン/代表理事 三浦務氏
「今回、共同提案に参加くださった各団体へのヒアリングを通じ、改めて自然が与えてくれる恩恵とつながり続けることの大切さを確認しました。分断を招きかねない状況の中、危機からの復興のため野外活動、アウトドア関係者が協働していることを誇りに思います。」
公益社団法人日本山岳ガイド協会/理事長 武川俊二氏
「毎月のように山に行く、日本の登山人口は600万人とも言われています。これからは、ガイドだけでなく、私たち登山者も、ケガや事故の防止だけでなく、感染予防という安全管理のもと、登山を行なっていく必要があります。」
公益社団法人日本環境教育フォーラム/理事長 川嶋直氏
「子どもたちの心身の発達にとって、自然環境の中で学び、遊ぶことは極めて重要です。自然学校等の廃業や夏の体験学習やイベントの中止、自粛などにより、自然とふれあう場や機会が失われてしまうことは、子どもたちの「生きる力」の低下にもつながります。」
森のようちえん全国ネットワーク連盟/副理事長 関山隆一氏
「子どもの健康を考えたら、感染防止対策だけではバランスが悪いのです。自然の中ではソーシャルディスタンスも取れるので、身近な自然に目を向け、場所を変えて日常的に自然と触れることを推奨しています。子どもたちは、遠くへ行かなくても楽しく遊んでいます。」
Leave No Trace Japan/事務局長 岡村泰斗氏
「Leave No Trace(リーブノートーレース)の7つの原則は、世界各国共通、環境と社会に与えるインパクトを最小限にしてアウトドアを楽しむための行動倫理であり、新型コロナウィルスの感染予防においても、そのまま適用できる行動指針です。」
本件に関するお問い合わせは、共同提案統括団体である「一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン(CAJ)」の事務局までメールにてご連絡ください。
E-mail:[email protected]